フリーホラゲーを呟く会

ホラーフリーゲームの感想を不定期に呟く。時々痛い小説があったり。

ホラーフリーゲーム 感想7

『哥欲祟2ーウタホノタタリ2ー』

・あらすじ

 ある夜に忘れ物に気付き、会社に戻った主人公。

 その日から彼女の生活が少しずつずれていく……。

 

・感想

 実写が苦手な人にはお勧め絶対できない理不尽な怖さのホラーゲーム。

 全体的によくわからない、というのが本音。ノーマルもトゥルーもどちらのエンドもよくわからない、ただ、理不尽な何かで救われない終わり方。

 あらすじが短めなのにも理由があり、会社でどう行動するかでもストーリーが変わります。

 ただの日常が少しずつ歪みます。あれ?あれ?と勘違いかなあと思うことから始まり、明らかにおかしいものが、そして、どんどんおかしなものが……。

 正直自分は苦手なタイプの怖さですが、実写が割と平気な人にはいけるかも。全体的に物静かなので、物音で脅かしてくるので要注意です。個人的にあまり好みではないですが、いい作品ではあります。

 

 

 

『ベルとお菓子の家』

・あらすじ

 北の黒い森には入ってはいけないよ。人食い魔女に食べられてしまうからね。

 子供たちが北の黒い森に入って行かないよう、20年前、「ヘンゼルとグレーテル」は、ヘンゼルとグレーテルはそれぞれ鍋でゴトゴト煮込まれ、串刺しで丸焼きにされた、と絵本が改訂された。

 そんな絵本を眺めていたハンスは、その黒い森の中にあったお菓子の家の中で、誰もいないはずの家で物音を耳にする。その物音がした場所に向かうと、彼は魔女の世界へと引きずり込まれていった……。

 

・感想

 個人的にはこの作品は大好き。童話をモチーフに、グロテスクな表現はあるものの不思議な世界観が魅力的。ハンスの人柄や、ハンスが背負った業、お菓子の家や魔女についての話が奥深くて好きでした。

 全体的に色が鮮やかで、美しい。世界観といい、人間関係といい、あまり語られないけれどよく見えてきます。ちょっと「人体パズル」と似た感じの魅力を感じます。

 BADENDとTRUEENDの二つ。一見どちらもバッドに見えるけれど、最後の最後で感動させてきます。

 ベルちゃんかわいいからもう少し出番がほしかったというか、ハンスともう少し長く行動をともにしてほしかったなあ、というのがちょっと個人的に物足りないところです。

 

 

『怪異症候群2』

・あらすじ

 あの怪異症候群から数ヶ月、神代春子が預けられた神代家の民宿から怪異の反応が出たという。そう聞かされた氷室等は現場へと急ぐ。特務課として彼はこの事件を解決に導こうとするのだが、今度は氷室が「怪異症候群」になり……。

 

・感想

 怪異症候群の続編。一応前作を知らなくてもプレイできる仕様で、前作をやってると細かい人間関係がわかって楽しいです。

 今回も元ネタに忠実に、わけのわからない不気味さを持った怖さがあります。しかし、前作と比べると氷室さんが主人公のせいかアクション要素が強く、逃げるというより倒す。また、人間関係も複雑化し、これまた奥が深いですね。

 「コトリバコ」「裏S区」「八尺様」、そして「リョウメンスクナ」。これまたしゃれにならない怪異ばかり。氷室さんそれでも戦って勝てるんだから何者なんだ、あの人。

 前作よりは脅かし要素も少なく、あまり怖くはありませんでしたが、個人的に面白かったです。

 

 

『螺旋の宿』

・あらすじ

 主人公たちはアオイの叔父のペンションに泊まる予定だったが道に迷い、見知らぬ宿にたどり着いた。そこはずいぶん古びた民宿らしく、誰も見当たらない。電話がないか探し、人を探していくうちに血痕などが見つかり、発狂した幼馴染を追いかける。

 民宿には大量のメモがあり、そこにはこう書かれていた。

「ここには、赤い服の3m以上の身長の女がいる」

 

・感想

 普通に赤おばさんが怖いです。足速いし、でかいし、最終的に四つんばいになって追いかけてくるし、怖すぎます。

「なんか来たなんか来た、何こいつ怖いんだけどwww」

と、なんというか、青鬼感覚。

 主人公は亡くなったお姉ちゃんの守護霊に守られるものの、つかまったらやっぱり死ぬ。ヒナタという小学生くらいの女の子やリンという見知らぬ女性に会いつつ、生存者とこの宿の出る方法を探します。

 発狂し、仲間は死に、狂っていく中、主人公は時間を遡って全員を助けるため奮闘します。

 なんというか、こんなところで時間が逆行し、さらには助からないなんて普通なら気が狂いそうな世界観で、それがまた怖い。誰にも見つからないまま宿に囚われて時空の中に消えていくのがまた怖いのです。

 4,5時間という長いゲームですが、見応えは十分あり、あきませんし、感動しました。

 

 

『HAPPY END』

・あらすじ

 主人公はいつも悪夢を見る。主人公は悪夢に悩まされ、あるカフェを訪れた。カフェのオーナーは主人公にあるキーホルダーを渡す。

 その夜、彼女は奇妙な夢を見る。そこでであった楓と名乗る少年によると、夢の主の望みをかなえなければ出れないという。ほかにいた人々と夢の主を探すが……。

 

・感想

 フルボイス。絵もきれいで、見た目はすごくよかったです。

 一人ひとりが抱える何かは人によって異なります。こんなことで?と思うものでもその人にとっては重大な問題だったりします。だからこそ、誰かがそのことを知り、理解したうえで説得する必要があったのです。

 先生と恋仲になったが、彼が浮気してるんじゃないか不安で不安でたまらない少女、友人に隠し事をされて信用がないのか悩む少女、親のために自らの夢をあきらめてしまった男性、様々な人々がいます。

 彼女らの記憶をただただ辿っていくのですが、普通にいってもBADENDにいきます。

 そこからHAPPY ENDにする。そういうゲームでした。

 キャラクター一人ひとりの性格はっきりしていて、とてもわかりやすかったです。BADENDが若干怖い以外はそこまでホラー要素は強くないかもです。

 

 

今回はここまで

リザインサバイバル4

「……やっぱりそうか」

 凜は呟いた。そして舌打ちをする。

 戻してみるときに、何気なく彼は録画時間を確認した。そしてそこでやっと気づいたのだ。録画を始めた時間と終えた時間から考えられる録画時間より、1時間以上短かったのだ。

 もう一度同じ映像を詳しく解析してみると、なるほど、と納得する。

 違和感を覚え始めた頃の数分、わずかであるが、とんでいるのだ。それは最初数秒単位ではあるのだが、確実に、少しずつずれている。数秒単位がやがて数分単位で、そして、倉庫から物が無くなった時は30分もとんでいた。男が突然消えたり現れたりしたように見えたのも、とんでいたせいだった。音も、よく聞き、分析してみると、とんでいることが確認できた。

 違和感の正体と、倉庫から突然物が無くなったり、男が急に現れたり消えたりした理由はこれで全て説明がついた。

 だが、これはこれでまた厄介なことがわかった。向こうはカメラの方を向いていた。つまり、凜がこっそり隠れて設置したカメラの場所がわかっていた。それに、カメラが壊れているわけでもないのに映像がとぶのはただの偶然には思えなかった。

 1台だけならともかく、全てのカメラ、全てのマイクが同じとき、同じようにとんだ。しかも盗まれる前後だけ。

「……場所がばれてる上、何らかの方法で映像の録画録音の電波を邪魔したのか……」

 これは苦戦するな、と凜は溜息をつく。色々収穫はあったが、めんどくさそうなことがよくわかった。

 彼はもう一度溜息をつくと、工具を手にする。次の手段に出るためにもまずはエンジンの故障修理と、長老に報告をしよう。彼はそう決め、乗り物から降りた。

 

 

 ジャリジャリ、という靴音。それは近づいていた。隠すわけでもなく、ただごく普通に近づいていた。何かを探すかのように、それはあたりを見回す。真っ暗な闇。近くに火を焚いている人物はいるが、それに気づく様子がない。

 一度足を止め、それはじっと見つめる。そして、一歩踏み出した。

「動くな」

 ごりっとそれの頭に誰かが何か固いものを突き付ける。ひどく乱暴で、それは一瞬何が起きたか理解できなかった。さっきまで火を焚いていた人物の方に視線を送るが、そこに先ほどまで見えていた人影がいない。

 それと誰かはそのままで数秒経った。やがて誰かは溜息と共に銃を下ろし、それに声をかける。

「……幼い子供、しかも女とか……どれか一つぐらい条件当てはまっていればいいのに、くそ」

「え? あ、あの?」

「……お前、どこから来たんだよ。ここの村の子供じゃねえだろ、服からして」

「どこって……向こうの方」

 少女が指(というか腕)を差す。向こうと言われても、誰かこと、凜の目には夜の砂の大地しか見えない。いやいやいや、おかしいだろ。本当にコイツどこから来たんだ。

「あのね、向こうの方にオアシスがあるからね、そこから来たの」

「……遠いんじゃないのか?」

「遠いよ。でもね、村の人困っていて、それ助けに来た人がいるって言うからね、頑張ってきたの」

 随分と耳がいいな、と凜は思う。胡散臭さ漂いすぎて酔いそうだ。そして、子供大嫌いの凜にとって、この少女の相手だけでも疲れそうだ。

「えーっと、お兄さんが村の人助けに来た人?」

「不本意ながらな」

「よかったー! 銃とか怖い人だと思ったけど、この人が助けに来てくれたいい人なんだね!」

 随分明るい奴だ。ああ、うるさい。耳を塞いでしまいたい。凜は舌打ちを小さくする。幸い、彼女には聞こえなかったようだ。

「……お前、何しにきたんだよ、そのオアシスから」

「私、知ってるの。みんなが探している男の人」

「……!?」

「私ね、見たの。その人がね、ずーっと向こう、大きな荷物持ってどこか行くの」

「……おい、それは本当かよ」

 私は嘘ついてないよ、と頬を膨らませる少女。凜の胸辺りまでしかない身長、炎に照らされて光る赤い瞳。

 あー、鬱陶しい。なんだっけ、こういう展開、RPGだかそういうのだっけ? 詰まった時に出てくるヒントと、砂の大地の向こうの方、という随分雑な指図。凜はボリボリ頭を掻く。そして一歩下がって彼女を見下ろす。

「……もし、嘘だったらお前はどうする?」

「え? 疑うの? んー……じゃあ、あなたの言うこと一つ聞く!」

「おーし、じゃあ、嘘ついたら針千本飲めよ。決定だからな、針1000本用意するからな」

「え、それはないよ! 針は食べ物じゃないよ! 痛いし死んじゃうよ!」

 慌てるその子に、嘘ついてないなら余裕だろうが、と凜は毒づく。嘘ついてないもん、とその子はボソッと言うが、凜は無視した。脅すだけ脅す。何故なら自分が大嫌いな子供だから。

 凜はその子の首根っこを掴む。

「案内しろ、ガキ」

「ガキってやめてよね! 私、これでも20歳だからね!」

 凜は思わず吹き出した。

 

 

「……オレは星凜だ。お前は?」

「私? 私はクルエルだよ。よろしく、凜さん」

 

 

 

 

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リザインサバイバル3 - やまリンゴの呟き場

リザインサバイバル3

 ダメか、と彼は呟く。これで12人目だが、明らかな証言が出てこない。頑張れば一週間で終わるでしょ?と笑って言ってきた生徒会長の笑顔を、全力で殴り倒したい衝動に駆られる。終わるわけないことを知っているはずだ、生徒会長なら。あの眼鏡優男め、と心の中で毒づいた。
 明らかに村人じゃない彼を村人は怪しそうにじろじろ見てくる。確かに彼は村人の一番背が高い青年より背が高いのもあってひどく目立つ。持参したタオルで汗を拭いつつ、濡らしたタオルを頭にまく。とにかく暑くてたまらない。
 雨とは縁がなさそうなカンカン照り。酷く乾燥していて、喉も乾く。幸いここらは地下水があるらしく、井戸はちゃんと生きているのが幸いだ。持ってきていた水だけでは心許なかったのだ。一応たっぷり持ってきたとはいえ、いつ終わるかわからないので油断もできない。凜はふう、と息を吐いた。四季がある自分の国に早く帰りたい。凜はそう思った。
 
 
 日がかなり傾き、1時間もすれば沈む頃になる。何人かからそれらしい事は聞いたのだが、長老から聞いていた物以上の何かはなかった。たまに子供だった気もする、大人は違う、というのもあったのだが、保留にしている。子供であればまた洗い直しになるから余計面倒なことになる。出来る限りその巨体の人物で探していきたい。というより、巨体の人物の方が信憑性が高いと判断したのだ。
 とはいっても、一番手っ取り早いのは盗みに来るとかする奴を倉庫で待っていることか。だが、長老に聞く限り不定期だし、ヘタすれば数か月滞在するはめになる。学校での生活もあるし、そもそも何故自分がここにずっと滞在しなければならないのか。理不尽すぎる。数カ月滞在とか、絶対避けたいんだけどなあ、と凜は呟いた。
 とりあえずカメラとマイクを見えないよう設置するか、とごそごそとカメラを取り出す。カメラは無線で自動録画録音してくれるし、解析度も高い、夜中でもハッキリ撮れる優れものだ。機械部の部長に大金払って作ってもらったものだ。見た目もすごく小さいので、そう簡単に見つからないだろう。第一、こんな村に監視カメラ何ていう物があるとは思わないはずだ。ベタだがこれが最初にやることだ。
 今日も結局直せなかったエンジンがある乗り物で一夜を過ごすことにした凜は、ある程度生活できるよう作られた乗り物内の電気を点ける。そして、ノートとシャーペンを手に、監視カメラとマイクを置く場所を考え始めた。
 
 
 やられた。
 凜は倉庫を見て舌打ちし、頭を抱える。初日にやってくるとか思っていなかった。
 疑われるのも嫌なので、とりあえず自分じゃない証明を凜はする。持ってきた機械の中も全て見せ、食材の量、内容と、盗まれた内容が一致しないことを説明する。
 一応疑いが晴れた凜は、監視カメラを今確認している。
 監視カメラの録画を確認しながら彼は持ってきた食料を口にする。念のため、二週間分は用意してあるが、早く新鮮でおいしい食事にありつきたい。そう思いながらまたかじる。栄養重視の食品であるため、まずくはないが美味しくもない。
 そんなことを思いながら、彼は監視カメラの映像に違和感を覚える。ん?と思い、一旦映像を止める。今の部分、どこかおかしかった。
 そう思ってもう一度戻し、再生する。
 やはりおかしい。倉庫入口の映像だが、どこかに違和感を覚える。その違和感が何なのか、凜にはわからない。
 違うカメラの映像に切り替える。倉庫の中が見えるものだ。早回しをし、問題となる時間までとばす。録音も再生し、じっと画面を見つめる。
 しばらくは何も起きる様子がない。音も特にこれと言ってしない。ただただ夜の静寂と、暗い倉庫だけがある。
 気のせいか?と思い始めた彼の目に、違和感が現れる。彼はハッとし、食い入るように画面を見つめる。ヘッドフォンの音も、特にこれと言って特徴的なものはないのに、強い違和感を覚える。何だ、何なんだ。やはり、違和感の正体がわからない。でも、明らかに何かがおかしいのだ。それが数分ほど続く。
 次の瞬間、倉庫から物が消える。
「……はっ?」
 思わず声が出る。いやいや、おかしい。今の今まで音がしなかったし、誰もいなかった。注意していればわかったし、下から来たとしてもカメラに死角はないよう配置した。そもそもあの量は一気に消えるはずがないのだ。
 わけがわかんねえな。彼は呟く。嫌な予感がしつつも彼は映像の続きを見る。何にもない倉庫の中。さっきまであったものが、突然消えるとか、ありえない。
 それも突然だった。誰かがカメラの前に立つ。どこから現れたのか、いつの間にか、音もなく。
 コツンコツンという重い足音。その誰かはカメラの方を見る。男だ。ニンマリ笑う顔。目の辺りは髪でよく見えない。
 口が動く。
『残念だったね、星 凜くん』

 

 

 背中が冷水をかぶったかのように寒くなる。今、男は名前を呼んだ。昨日ここに来て、長老にしか名乗ってない名前を、はっきりと呼んだ。
 なんだ、何なんだ。コイツ誰なんだ。彼の手が震える。得体のしれないその男の顔を、凜は食い入るように見つめる。
 男はまたふっと消える。まただ。いきなり現れたり、消えたり、音もしないしおかしい。
「……ん? 録画もうこれで終わりか?」
 凜と長老の映像が流れる。そんなに朝早かったかな?と思いつつ、彼は記録された時間を見る。
「4時25分、か。割と早かったんだな」
 ここの人ら起きるの早いな、と思いつつ、もう一度最初から見ようと戻していく。

 

 違和感の正体を彼はこの瞬間理解した。

 

 

 

 

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リザインサバイバル4 - やまリンゴの呟き場

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リザインサバイバル2 - やまリンゴの呟き場

NORMAL ABNORMAL 1章 2

「時給が10ベル以上で三食昼寝付き楽な仕事ならやりたい」
「世の中なめてんじゃねえよ、そんな美味しい仕事があるんならオレだってやりたいわ」
 えー、とか言いながらベットでゴロゴロしているヒカリ。突然真顔で舐めたこと言い出したからちょっと正拳突きしていいか? ……いや、やめておこう。ラグの困った顔を見てその衝動は抑える。
 オレはため息をつき、ヒカリの首根っこを掴む。ヒカリがやーん、とか言い出している。コイツ本当にイラつかせる天才だ。
 既に所持金は1000ベルを切った。いくら宿が安いからと言って、数日ともたない。次の場所に行くためにも金が必要だ。だから金を稼ぎに行くぞ、と言っているんだが……こいつはやる気がないときた。
「大体さー、1000ベルあれば一応ある程度の物は買えるじゃん。わざわざ今働きに行かなくてもさー」
「お前の発想は本当にニートだな」
「働いたら何かが終わる気がするんだ」
「お前のニート根性が終わるんなら喜ぶぞ」
「リクのオカン気質もどうにかなればいいね」
「オーケー、表出ろ」
「絶対嫌だ。関節技かけてくるオッサンと真正面からやりたくない」
「だったら仕事探すぞ、ニートが」
 オレは舌打ちをしてヒカリをベッドから投げ落とす。
 乱暴なんだから、と言いつつめんどくさそうに剣を携え、仕事モードに入ったヒカリ。ラグはお気に入りのぬいぐるみを抱えたまま、いってらっしゃいです、と手を振った。

 

「何が悲しくて金持ちの猫を探しに行かなきゃいけないのよー」
 猫とか見つかるの、これー? とヒカリはぶーぶー文句を言ってくる。一番手っ取り早くて金が稼げて汚れない仕事をしたいとか無理難題の要求を満たしてやったのに何が不満なんだ。オレはそんなヒカリにため息をつく。
「文句言うな。報酬は弾むっていうんだからよ」
「いくら他がすごく時間かかるからってさあ……。
それにしても金持ちすごいね、たかが猫1匹に1000ベル払うとかさあ」
 そんな金あるんならどっかに寄付しろよ、と文句言う。その金でオレらの財布が潤っていることを忘れてんじゃないだろうな、こいつ。多少は同意するけど。
 ヒカリはため息をつき、そしてポツリとつぶやく。
「これはラグちゃんにお願いするしかないかな」
「……そうだな」
 ラグにお願いしたら手っ取り早く見つかりそうだ。

 

「猫さん……探すお仕事ですか?」
「ああ、やってくれないか?」
 ほんの少し考えるように首を傾げるラグ。だが、それも数秒で、いいですよ、と笑って言う。猫さんに会える、と逆に喜んでいる。
 ヒカリはラグをなでて、ありがとー、助かるよ、と声をかけている。正直助かる。ラグの能力なしでは確かにこの仕事はきつい。
「勝手に探してきた仕事を丸々頼んじゃう形でごめんね。リクがおんぶしてくれるからこき使えばいいよ!」
 おいおい……決定事項か、それは。ラグは、本当ですか、と嬉しげに言う。いや、うん、おんぶして喜んでくれるならやるけどさ……。
 オレはラグをおんぶし、ヒカリが地図とメモを取り出す。依頼人の家と猫の特徴を書いたメモを見ながら何か考えている。

「猫の特徴は赤いリボンに青い鈴を着けた8ヶ月のメス猫だって。色は基本は黒だけど、鼻の部分だけ白い点々模様がある」
「まあ、抜け出したら帰ってくるか怪しいくらいだな……」
「鼻に白い点々がある真っ黒い猫さん、ですね」
「ま、とりあえずまずは依頼人の家の方に行ってみようか」
 ヒカリはそう言って依頼人の家の方角を確認したあと地図をしまう。猫の縄張りって半径2,3kmくらいなかったっけ、とボソッと呟いていたのはまるっと無視するとしよう。

 

 

 

To be Continued……

 

 

 

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NORMAL ABNORMAL 1章 1 - フリーホラゲーを呟く会

 

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最初から

NORMAL ABNORMAL 1章 1 - フリーホラゲーを呟く会

お勧めゲーム実況者紹介

個人的にお勧めのゲーム実況者の方をあげていきます

 

・ばんぱーさん

 主にぷよぷよを主に活動していますゆっくりボイス実況者。りんご、アルル、ばんぱーさんのメンバーでやっていくぷよぷよは9割茶番。茶番が苦手な人にはお勧めしませんが、軽快なトークと、ばんぱーさんの積み上げのうまさは楽しいです。

 

 

・Bellさん

 Minecraftのゆっくりボイス実況者。「方向音痴のMinecraft」シリーズは既にシーズン5。病院で出口探して数時間彷徨ったというリアル方向音痴のBellさんが、まったりと建築や洞窟探検をしていく、まさにマイクラらしいマイクラ。

 建造物の規模やクオリティは高く、とことんこだわる。天空トラップタワーや天空の廃墟と化した神殿、図書館から駅まで。フラグ回収もお手の物なので、MODを使わない純粋なマイクラを見たい人にはお勧めです。

 

 

・たくたくさん

 肉声で実況をやっている男性の実況者。主にホラーフリーゲームをプレイして19:00にほぼ毎日うpしてます。

 非常に落ち着いた静かな声で、見てて飽きません。トークがうまいというよりも落ち着きます。叫びと漢字の読み違えはちょっと多めですので注意。

 

 

・最終兵器俺達のきよさん

 肉声で実況している男性実況者。ゲームは様々で、笑えるものからホラーまで本当に色々プレイします。

 よく喋り、くだらない事やダジャレを言ったり、ドヤ声でやって失敗したり。一言で言えば五月蠅い。五月蠅いのに、愉快で、見てて楽しい実況です。ゲス声が得意なのですが、何故か某天空の王のグラサン子孫で再生されます。

 

 

・死神さん

 現在高校生の男性肉声実況者。男子にしては高めの声とたまに発動する厨二病。マインクラフトやアクションゲーム、フリゲーやフリゲー宣伝などを行っています。また、ストーリー物だと登場人物一人一人の声を変えて演じてくれるので、すんなりと世界観に入って行きやすいです。

 漢字スキルは低め(本人談)。

 

 

・ペルニンさん

 MODを多様に使用するマインクラフト天上王。整地がしたくない、という理由でマップ1枚分、天空に大地を作ります。整地嫌いの整地厨。空飛ぶトイレをシリーズを作ったり(しかもクオリティーが妙に高い)、装備品をパンツにしたり、メイド天国作ったり、僕っ子のドラゴン娘がいたりと隠さない変態ぶりと茶番。

 しかし、その反面、海やダム、更には山さえも作り出す自然物生成技術は高いです。

 下ネタ耐性、茶番耐性があり、ダムや海などの水に関するものを作ってみたい人にはお勧めです。

 

 

今回はここまでにします。

NORMAL ABNORMAL 1章 1

 ヒカリの奴がしくじりやがった。バランスを崩し、立て直そうとするアイツに、相手がでかい図体で突進してくる。何やってんだよ、アイツは。調子に乗るなと何度言えば覚えるんだ。そんな風に心の中で毒づきながらオレは突進してくる奴に銃をぶっ放す。至近距離で急所を数か所撃ち抜いた。普通ならもうそろそろいいはずだ。

 サンキュ、という声がした。アイツは、オレが作った相手の一瞬の隙に体勢を立て直し、持っていた大剣で相手を切り裂く。相手の血が、アイツの顔にかかるが、アイツはニコニコ笑ったままだった。

 

 

「だからお前は未だに半人前なんだよ!! あんなブンブンぶん回したらバランス崩すに決まっているだろ! 今日だってオレがいなかったらケガしてたんだぞ、わかっているのか!?」

「今日もオッサンがうるさいわー」

「オッサン言うなって何度言ったらわかる! オレはまだ! 29! てか今その話どうでもいいだろ!!」

 腕立て伏せをしながらヒカリはめんどくさそうに笑う。オレは正座しろ、と言ったはずなのだが。いつから正座は筋トレメニューに加わったのか聞きたくなる。

 反省会を行い、今日の収穫について話し合う。……が、成立はしていない。正直に言うが、反省会と言ってもコイツに反省のはの字もない。話し合うと言っても大抵全く違う方向に向かう。真面目な話だって言うのにコイツはすぐはぐらかす。困ったもんだ。

 ヒカリ。5年前、とある事情でオレが拾ってきた。栗色のサラサラの髪、透き通るように青い瞳、中性的で整った顔つき、すらっとした手足だが、ガリガリでもなく、綺麗な筋肉を持っている。まあ、この生意気な態度と毒舌と不真面目さがなければ、本当に綺麗な容姿をした17歳の少年だ。

 コイツとは長い付き合いではあるが、見た目に対してかなりの悪ガキだ。年々オレに対しての罵倒とからかいの度合いが酷くなってきている。正直困ったものだ。

 やっとのことヒカリが真面目に話を聞き始める頃にはもう日が大分傾いていた。どれだけオレの話をまじめに聞きたがらないんだよ、コイツ。賞金狩りで生計立ててるオレらが、賞金狩りにやられないようにするために注意すべきことをもう5回は言ったぞ。聞いてないのか。そんな文句ばかりが出て、頭が痛い。そんなオレを見て、ヒカリはケケッと笑う。

「そんな固く考えないでよリク」

「お前は多少危機感持て。まじめに危なかったんだからな」

「アリガトネータスカッタヨー」

「お前はオレをイラつかせて何が楽しいんだ?」

「そのイラッとした顔がウケる」

「殴られたいか?」

「遠慮しとく」

 いつものようにする会話。似たようなやりとりはもう何回もやっている。相変わらず反省する素ぶりを見せないヒカリに溜息をつきながら、泊まる宿のドアを開けた。

「……リクさん、ヒカリさん、おかえりなさいです」

「ただいまラグちゃん。いい子に待ってて偉かったねー」

 クマのぬいぐるみを抱えた黒い髪のおさげの少女がオレ達を見て嬉しそうに駆け寄る。そして、ヒカリに頭をなでてもらって嬉しそうにしている。一人で待っているのは寂しかったんだろうな。いつも悪いな、と思ってはいる。

 ラグは1年ほど前、オレ達について来た子供だ。黒い髪が珍しいとは思ったが、その垂れ目で大人しそうな顔にある瞳は、滅多にみない紫雨色、つまり紫色だった。何でオレ達についてきたのかは知らない。彼女の昔は、彼女自身も覚えていないと言った。ただ、人一倍臆病で、優しい性格の持ち主で、ヒカリとは正反対だ。

 ラグ、とオレは声をかけ、ラグを抱っこする。ラグは少し驚いた表情をしたものの、すぐに笑みを浮かべる。その笑みを、オレは目を細めて見つめる。ホッとする、愛らしい笑みだ。

 ヒカリは荷物を置き伸びをする。ヘラヘラ笑ってはいるが、少し疲れている様子ではある。

 そろそろ時間だし、ご飯でも食べに行くか。オレがそう声をかけると、2人はいい声で返事をした。

 

 

 オレはリクベルト=アウル。アブノーマル竜族。

 旅をしている理由はオレにはない。

 ただ、償いたかった。

 

 

To Be Continued……

 

 

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NORMAL ABNORMAL 1章 2 - フリーホラゲーを呟く会

NORMAL ABNORMAL プロローグ

 この世界は二種類の人間がいた。

 一つは「ノーマル」。この世界の人口の8割以上がこの人種だ。肌の色、髪の色、使う言語、持っている文化に関わらず、魔法を使うことができるごく普通とされる人間だ。

 もう一つはその異質な能力と見た目から、「アブノーマル」と呼ばれた。

 アブノーマルは何故生まれたかはっきりとはわかってはいない。その異質な能力や見た目から「族」に分かれ、多くの「族」は魔法と引き換えにノーマルではありえないことができた。

 鳥族であれば翼を持ち、空を高く飛ぶことが可能だった。

 犬族であれば鋭い五感と脚力を持ち、ノーマルの倍の速度で走ることができた。

 魚族であれば水かきとエラを持ち、魚のように水中で呼吸をし、泳ぎ続けることができた。

 しかし、1500年、ノーマルはアブノーマルを差別してきた。ノーマルとはあまりに違いすぎ、あまりに異質な能力を持っていたため、アブノーマルは恐れられ、迫害され、逃げてまわるしかなかった。

 

 

 これは、そんなアブノーマルの差別を禁じる法律ができて数百年経つ頃、ゴーグルをしたアブノーマル竜族の男と、美しい顔立ちのノーマル剣士の少年、そして、紫雨色の目をした記憶のない少女が、小さく世界を動かしたお話。

 

 

 

To  Be Continued……

 

 

 

数年前の話なんで、ちょっと書き直します。