フリーホラゲーを呟く会

ホラーフリーゲームの感想を不定期に呟く。時々痛い小説があったり。

NORMAL ABNORMAL 1章 2

「時給が10ベル以上で三食昼寝付き楽な仕事ならやりたい」
「世の中なめてんじゃねえよ、そんな美味しい仕事があるんならオレだってやりたいわ」
 えー、とか言いながらベットでゴロゴロしているヒカリ。突然真顔で舐めたこと言い出したからちょっと正拳突きしていいか? ……いや、やめておこう。ラグの困った顔を見てその衝動は抑える。
 オレはため息をつき、ヒカリの首根っこを掴む。ヒカリがやーん、とか言い出している。コイツ本当にイラつかせる天才だ。
 既に所持金は1000ベルを切った。いくら宿が安いからと言って、数日ともたない。次の場所に行くためにも金が必要だ。だから金を稼ぎに行くぞ、と言っているんだが……こいつはやる気がないときた。
「大体さー、1000ベルあれば一応ある程度の物は買えるじゃん。わざわざ今働きに行かなくてもさー」
「お前の発想は本当にニートだな」
「働いたら何かが終わる気がするんだ」
「お前のニート根性が終わるんなら喜ぶぞ」
「リクのオカン気質もどうにかなればいいね」
「オーケー、表出ろ」
「絶対嫌だ。関節技かけてくるオッサンと真正面からやりたくない」
「だったら仕事探すぞ、ニートが」
 オレは舌打ちをしてヒカリをベッドから投げ落とす。
 乱暴なんだから、と言いつつめんどくさそうに剣を携え、仕事モードに入ったヒカリ。ラグはお気に入りのぬいぐるみを抱えたまま、いってらっしゃいです、と手を振った。

 

「何が悲しくて金持ちの猫を探しに行かなきゃいけないのよー」
 猫とか見つかるの、これー? とヒカリはぶーぶー文句を言ってくる。一番手っ取り早くて金が稼げて汚れない仕事をしたいとか無理難題の要求を満たしてやったのに何が不満なんだ。オレはそんなヒカリにため息をつく。
「文句言うな。報酬は弾むっていうんだからよ」
「いくら他がすごく時間かかるからってさあ……。
それにしても金持ちすごいね、たかが猫1匹に1000ベル払うとかさあ」
 そんな金あるんならどっかに寄付しろよ、と文句言う。その金でオレらの財布が潤っていることを忘れてんじゃないだろうな、こいつ。多少は同意するけど。
 ヒカリはため息をつき、そしてポツリとつぶやく。
「これはラグちゃんにお願いするしかないかな」
「……そうだな」
 ラグにお願いしたら手っ取り早く見つかりそうだ。

 

「猫さん……探すお仕事ですか?」
「ああ、やってくれないか?」
 ほんの少し考えるように首を傾げるラグ。だが、それも数秒で、いいですよ、と笑って言う。猫さんに会える、と逆に喜んでいる。
 ヒカリはラグをなでて、ありがとー、助かるよ、と声をかけている。正直助かる。ラグの能力なしでは確かにこの仕事はきつい。
「勝手に探してきた仕事を丸々頼んじゃう形でごめんね。リクがおんぶしてくれるからこき使えばいいよ!」
 おいおい……決定事項か、それは。ラグは、本当ですか、と嬉しげに言う。いや、うん、おんぶして喜んでくれるならやるけどさ……。
 オレはラグをおんぶし、ヒカリが地図とメモを取り出す。依頼人の家と猫の特徴を書いたメモを見ながら何か考えている。

「猫の特徴は赤いリボンに青い鈴を着けた8ヶ月のメス猫だって。色は基本は黒だけど、鼻の部分だけ白い点々模様がある」
「まあ、抜け出したら帰ってくるか怪しいくらいだな……」
「鼻に白い点々がある真っ黒い猫さん、ですね」
「ま、とりあえずまずは依頼人の家の方に行ってみようか」
 ヒカリはそう言って依頼人の家の方角を確認したあと地図をしまう。猫の縄張りって半径2,3kmくらいなかったっけ、とボソッと呟いていたのはまるっと無視するとしよう。

 

 

 

To be Continued……

 

 

 

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