フリーホラゲーを呟く会

ホラーフリーゲームの感想を不定期に呟く。時々痛い小説があったり。

リザインサバイバル2

 けたたましいアラーム音にイラつきながら彼はのそのそと起き上がる。眠りたりないと思いつつも起きなければ後が辛い。彼は不機嫌そうに眉を寄せた。

 結局暑さに耐えきれず、これから来るであろう寒い夜も嫌でこの乗り物の中で一夜を過ごした。エンジンなどが不調だが他の設備は生きていたようで、寝るにはちょうどいい温度を保ってくれていた。これでエンジンさえ無事ならいいんだけどなあ、と彼は呟いた。

 アラーム音を鳴らすスマートフォンを手に取り、音を消す。そして一度大きな伸びと欠伸をして、外に出た。今日も暑くなりそうだな。彼は呟いた。

 

 

 

「……それで雪村に頼まれてきたのですか、あなたは?」

「ええ。生徒会ちょ……雪村栄音から、あなた方が困っているから手を貸してやってくれ、と頼まれまして」

 本当はほぼ脅されてきたんだけどな、と心の中で呟く。本当のことなど口が裂けても言えない。言ったらどんな報復が待っているのか目に見える。さすがに指は痛い。

 なるほど、と言いながらも明らかに不信感を抱いている目の前の老人。小さな村の長老を名乗っているその人物は、注意深く凜を見ていた。まあ、見た目はここらへんに住んでいる人々と違うし、変な金属の塊の乗り物を持ってきたし、凜が覚えた言葉も片言だ。不審者臭が半端じゃない。

 言葉もかろうじて通じている状態で、長老の言葉もかなり方言が入っている。お互いに聞きとるのが大変な状態だった。

 これは話が通じるのが大変だぞ……。凜は一つため息を吐く。

 長老はしばらく何かを考えている。そして口を開いた。

「確かに雪村には最近困ったことがある、とは言った事がある」

「……何やら化け物が出るとか聞いたのですが」

「……あれは人間だったと思うのだが……」

「……。……被害の方とかはあるのですか?」

「あるある。食物庫丸々ごっそり盗まれることが多くてな……村人も何人か殺されている」

「何人か殺されているって……被害深刻じゃないですか」

「深刻だ。だが、その人間が見つからなくてな……」

「何か、特徴は?」

「暗闇だからわかりづらかったが、2mはある巨体、とは聞いている。村の連中のようには思えないから、他の場所からの人間だと思っているのだが……」

「……ここで他の場所で生きている人間、ですか」

 凜は眉を寄せる。手を顎に当て、考え始める。

 この広い砂漠地帯で、他の場所に住んでいる人がいるとは考えづらかった。村の人々は小柄で、男性でもせいぜい170あるかどうか。

 ここは確かに一番過ごしやすい場所で、しかも見渡す限りの乾いた大地だ。村以外の井戸も何もない場所で、2m以上の巨体の人間が生きていけるのかどうか、そもそも食べ物も少ないここをわざわざ狙うメリットもない。隠れる場所までいく力があるなら、別の場所に行った方がいい。夜に来たとしても、見張りが気づきそうなもんだが……。

 何かめんどくさそうなことになりそうだなあ、と凜は思いつつもわかりました、という。

「少し、調査させてもらってもよろしいでしょうか?」

「……」

 長老は構わない、と言いつつも目が信用していない。ああ、居心地悪いな、と凜は母国語で呟いた。さっさと終わらせて、帰りたい。凜は立ち上がった。

 

 

 

 

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