リザインサバイバル 1
「あー、くっそ、完全に壊れた!」
栗色の髪をした少年がガンッとそれを蹴る。それは軽自動車程の大きさだが、車とはまた違う楕円形の金属の塊だった。それは一瞬だけぶるっと震えるも、すぐに音が止まる。少年はくそ、と舌打ちしその場に座り込む。流れ出る汗を拭き持っていたタオルで拭き、ため息交じりに辺りを見回した。
「本当にここであってんのかよ、生徒会長……。大体何でオレが……」
ぶつぶつと文句を垂れる少年。彼の視界に移るのは、ただだだっ広い砂の大地だけだった。
彼の名前は星凜(ほし りん)。17歳の現役高校生である。
現役の高校生である彼がこの砂の大地にあるような学校に通っているわけでもない。彼の高校はこの砂の大地から車で10時間以上、飛行機に乗って軽く10時間、そしてまた車で数時間かかる場所にある。そこの高校で彼はいくつかの類稀な才能を持って生活していた。
そんな彼が、自分が住んでいる土地から遠く離れた縁のなかったこの大地に来たのにはいくつか理由がある。
比較的体のいい理由を挙げるとすれば、語学に興味がある彼は、学び、覚えた色々な部族の言葉を実際に使ってみたかったからだ。勿論、そんな理由だけでここまで来るわけがない。使ってみたいにしてもわざわざここまで来るほど言葉を使ってみたい、という強い思いは彼にはない。
もう一つは、生徒会長に頼まれたことがあったからだった。
あー、これ重いんだけどなあ、と彼はまたぶつぶつと呟く。夕方とは言え、日差しが強いこの時期にこの大きな金属の塊を引き摺っていくのは体力をどんどん削られていく。汗を拭き、持っていた水筒の水を何度も口に含む。
持っていた地図とコンパスを頼り、彼はある場所に向かっていた。
ボサボサのクセっ毛をポニーテールにした背が高い少年凜は舌打ちと共に言葉を吐く。
「何でオレがこんな場所の化け物退治しなきゃいけないんだよ……」
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