フリーホラゲーを呟く会

ホラーフリーゲームの感想を不定期に呟く。時々痛い小説があったり。

愛する君に

「ねえ、君、なんていう名前なの?」
幼い頃、幼い君に、手を差し伸べる。
いつも父さんに無視されてばかりで、オレも父さんには君に関わるなと言われた。君は禍を持った子供だから、オレと違って、幸福を持って生まれたわけじゃないから、忌み子に関わるなと、ずっと言われた。
でも、君はとてもじゃないけどそうは思えなかった。
壊れかけているとはいえ、とても綺麗な顔で、君はいつも笑っていた。
いや、壊れかけていたからこそ、君はあんなにも綺麗に笑っていたんだろう。オレはそんな君に惚れたんだ。あまりにオレにそっくりで、あまりにも狂気を帯びたその笑顔に。
その日から、オレは君の前以外では笑わなくなったんだ。
君が笑っていられるように、例え、誰も君のその笑顔が綺麗で、輝かしいと思わなくても、オレの分も君が笑うように。
みんな、オレにどうしたのかと聞いた。笑わせるように努めた。
でも、それでもオレは笑おうとしなかった。
だって、オレの分も君が笑うんだ。オレが笑う必要なんてどこにあるの?
君が禍を呼ぶ忌み子ならば、なお笑っていなきゃ。禍なんて、笑っているうちにだんだん消えていってしまうのだから。笑う必要があるのは、オレじゃない、君なんだ。
双子の片割れである、禍の子供、君という人なんだ。
君がオレの分笑って、幸せになれると言うのならば、オレはいくらだって君に、オレの分の笑顔をあげるさ。
君が笑っていられるというのなら、オレは、君のために、悪になろう。悪魔に身をささげよう。そうやって、君を陰で支えよう。



時が流れる。
君は何年振りかにオレの前に現れた。
最初は君が誰かわからなかった。
君が変わったんじゃない。君は昔のままなんだ。君は昔のように綺麗な顔で笑っていて、オレにそっくりだったんだ。
変わったのはオレの方なんだ。君のことを忘れていた。君がどんな風な姿なのか、君が誰なのか、あんなにも大事な大事な君なのに。
オレは狂った。
あんなにも壊したくなかった君を、オレは壊したいと思った。
あまりにも美しくて、あまりにも脆かった君が、こんなにもたくましくなって、こんなにも綺麗になって、オレの前に現れたのが許せなくなった。
君はオレの弟なんだ。
オレの力で君を守りたい。
オレの力で君の笑顔を与えたい。
誰かの力でこんなにも綺麗になる君を許せなくなった。
誰かの力でここまでたくましく、美しくなるのなら……今、君をオレの手で壊して無くしてしまいたかった。
どんなに君が愛しくても、その想いは止められないで、オレは、君の胸めがけてナイフを振り下ろしたんだ。



ねえ、ヒカリ。
オレ、こんな兄ちゃんでよかったのかな?
君のおかげでオレの心は救われた。
こんな醜い体にはなったけれど、この体が君じゃなくてオレでよかったと思えるオレは、本当に君に許してもらえるだけの人間なのかな?
君がどれだけオレを嫌い、オレを憎み、蔑んだとしてもオレは、君をもう二度と忘れはしない。
君に許してもらえるよう、努力しよう。
ヒカリ。





大好き。











愛する君へfin



言うなれば、ブラコンの話だwww