フリーホラゲーを呟く会

ホラーフリーゲームの感想を不定期に呟く。時々痛い小説があったり。

マリオネット 合作5

エルク
リーベは楽しげに笑っている。とても、何もかもが楽しくて仕方ないと言わんばかりに。
…いや、楽しいのだ。彼女にとって、母であるヒカリ以外、こうやってけなすことが、言葉を吐くことが、傷つけることが、傷つかないで笑ってくれることが、楽しくて、楽しくて、楽しくて仕方ない。
だからこそ、こんな言葉を吐ける。世迷い言と切り捨てられるようなこんなテキトーで、直感の言葉を。
リーベは…ある意味人間らしい。自分に素直なんだから。
「いやー…多分、どっこいどっこいじゃないですかー?リーは、ラグさんの方に賭けますけどね〜www
…自覚しないバカなドM氏虫にお嬢ちゃんと言われたから、見て下さいよ、この鳥肌〜wwwもう、気持ち悪いし、呆れちゃいます〜」
リーこれ以上言うな。オレは思う。
先ほど刺された痛みが、ズキンズキンと蘇る、ひどく懐かしい痛みが。
リーベはすっと笑顔を消す。楽しくないと言わんばかりの無表情。
「廃人?…バカですね、あなた〜…。

そんな程度でくたばる父様なら
リーはとっくにこの男を殺してますよ」


いつものリーが、どこにもいない。そこには、オレと同じ無表情の娘1人。

黙ってオレは、オレを見るあいつを見る。
…全く…どこまでもオレは…本当…
「「救われない奴」」
少女の声と重なった。


剳乱
「ふぅ、疲れるなぁそういうの。」

リーベくんとエルクくんの声が重なって部屋に響いたあとポツリと呟いた

「どんな形であれそういう親子の絆だとか価値があるかないかだとか
くっだらないなぁ」

無表情になったリーベくんはとても父親に似ていた
笑う時は母親に、無表情の時は父親に似るらしい

僕に掛けられた戯れ言も
今目の前にある親子というものも

本当に下らない。
お陰で楽しくて高揚してた気分が最悪だ

まぁそれでも笑みは絶やさないんだけどさ

「好きなように“これぐらいじゃ死なない”だとか“この程度で死ぬような奴じゃない”とか殺す価値がどーとか
愛してないし殺したいとか言ってるけどそれがある一種の“親子愛”なんだってオチとか
やってくれればいいと思うんだけど

事実として今君の目の前にいるのは
廃人になりかけの生きる意味を無くした男、なんだよ?
まぁそれをどう解釈しようが勝手だけど、親子ごっこなら他所でやってね
持ってかえっていいから」

そう言って僕は側のイスに座る
彼女がエルクくんを置いてけば僕に再利用(リサイクル)され、連れていけば廃人になって死ぬかそれとも復活するかだ
どちらにせよ興味がある


だから正直、早く帰って欲しかった。
彼女自体は別にどうということはない、けど彼女と彼がいることで生まれるこの空気がとてつもなく居心地が悪くて不愉快だったからだ

今すぐに誰かを壊したくなるぐらいに。


そう考えているといつの間にか笑みは深くなった


エルク
リーベは無表情だ。最高に哀れみを浮かべ、ただただ無言だ。あれほどまで楽しそうな顔をしていたリーもあいつも、今はその影すらない。
親子ごっこ、か…。くだらないものなのは事実だし、それが愛だの何だの言うようなことはリーベはしない。オモチャが壊されて不機嫌な子供そのものの顔だ。
リーは口を開く。
「あなたが帰れば?」
まっすぐ、ただまっすぐ、リーベはあいつを見つめて言った。
オレは、また何とも言えない耳鳴りに頭が痛くなる。今度は、記憶というものなんてのは何一つまとわりついてこないけれど。


剳乱
「そうだねぇ、じゃあ僕は帰ろうかな」


立ち上がって無表情のリーベくんを尻目に部屋の出口に向かう
これ以上彼らを見ていて平静を装っていられる自信がなかったからだ

あぁ、でも…、

壊したい。

なんでもいいから壊したい
めちゃくちゃに。

原型を留めないくらいに。


僕は出口に向かう足を止めてエルクくんの方に向いた


「ねぇ、エルクくん
まだ、死にたいとは思わない?」


この時の笑みは自分でも狂喜じみてたと思った


エルク
だんだん不安定になっていくあいつの顔。何かが気持ち悪いと思うかのようで。
リーの言うとおり、帰ろうとする。
リーに言われたことが気になるわけではなく、何か…空気が淀み、濁り始めていることに、気持ち悪さを感じたようだ。

「死にたいと思わない?」

帰りかけたその時、あいつは、オレを見てそうやって笑った。狂喜に満ちたその顔は…どことなく気持ち悪さを覚える。
胸の空虚感はますますひどくなる。ゆっくりと息を吸わなきゃ、呼吸が止まる。

リーベとはオレは違う。
だから


死ぬ必要がわからないと答えた。いつものように。


剳乱
「ふぅん。そっか。」


エルクくんの返事は変わらなかった
つまんないの。死にたいとか言うと思ったのになぁ


「じゃあね、エルクくん、リーベくん
……あぁ、エルクくん。もしもまた“忘れたいこと”があったらいつでもおいで」


僕はそのままドアに手を掛けて部屋の外に出る


外に出ると自然と表情がなくなった


あぁ


ヘドがでる


「さぁ……帰ったらなにを壊して遊ぼうかなぁ……」

エルクくんは、…それともリーベくんは
この“記憶”を取り戻しにくるだろうか?


「……記憶取り出さずに彼を壊せばよかったかもなぁ……」


エルク
壊してというのなら
オレはあいつじゃない誰かに言うだろう
このオレを殺せと
それが誰かはわかりはしない
ただハッキリしてるのは
あそこまで気持ち悪いあいつにだけは殺されるのは勘弁ってことだけ

オレはそうやって、空虚感にだけ満たされたこの体の手を胸に当てた。
生きてる証は刻まれているのに、生きていた証は刻まれてない。
それが
気持ち悪い。
いつもの笑顔を浮かべるリーベにほっとした自分は…誰ナノ?



END



はい、これで全部です!!長かったー!!でも、楽しかったので、またやりたいですwww