フリーホラゲーを呟く会

ホラーフリーゲームの感想を不定期に呟く。時々痛い小説があったり。

マリオネット 合作4

エルク
「どこまでも救われないね」
その言葉は、頭の中で何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も繰り返される。巻き戻して、再生されるテープのよう。
それでも、依然としてそいつはニコニコ笑っているだけだ。
きっとオレの無くなった痛みや苦しみは、こいつが持っている。返しやしないだろうけど。
どうでもいいや、もう。
そう呟く。オレの目はきっと、どこまでも虚ろなんだろう。わからないことだらけなのに、そんなことも考えるのが嫌になる。
だったらもう…あれかな…

そう思った瞬間に腕を貫かれる痛み。
さっきまでいなかった見覚えのある少女が、いつの間にかメスをオレに突き刺し、笑っていた。
「父様はどこまで」
バカなんですか。
そう言われる声が、ひどく懐かしかった。


剳乱
「どうでもいいや、もう。」
虚ろな目でしばらく黙った後、エルクくんは
今まで一番年相応らしい口調で
でも 本当にどうでもよさそうにそう呟いた

どうやら彼は
痛み以外の自分の中にあるものへ希望は持てなかったらしい
うん、もしこのまま廃人になったら僕がきちんと再利用(リサイクル)してあげよう


そんなことを考えて彼を観察していると

突然、一人の少女がエルクくんの傍にやってきた

赤と茶が混じった揺らして

リーベくんだ


恐らく状況を分かってないだろう彼女が父親に何をするつもりなのか
興味があって止めなかった

そして僕があいさつを言う間もなく



リーベくんはエルクくんの腕にメスを刺した


エルク
貫かれる痛みは尋常じゃない。あまりに不意すぎたのもあり、オレは声をもらしそうになる。

それでも
この痛みがひどく懐かしく思えた。

ズボッとメスを抜くリーベ。にっこりといつもの笑みを浮かべ、メスについた血を振り払う。
「…父様、何があったかわかりませんけど…この程度で廃人同然になるとか、笑えてきますね」
いつも通りのけなす言葉。リーベは本当に、状況が理解できないのであろう。
そして、だんっと勢い良くオレの手を踏みつける。
「テキトーに言ったことをいつまでもうじうじ悩んでるとか、どこまでも女々しいのですか、ドM。気持ち悪いですよ、正直」
「…」
ニコニコニコニコニコニコニコニコニコニコニコニコひたすら笑うリーベ。
その笑顔はあいつの方には向かない。リーベはオレに囁く。
「…父様がいなくなったら、この憎しみを誰にぶつけろというのですか?」
それは、この年の娘に言われたらおしまいな言葉であり、でも、オレにはどこか、一瞬だけ何かが見えた気がする。


剳乱
今、僕の目の前で

父親が実の娘にメスで刺され、しかもそこを踏みつけられ
挙げ句の果てに父親に対するものとは思えないような暴言を吐いているという
なんともシュールな図が展開されていた


僕はリーベくんの眼中にはないらしく
リーベくんはこっちをチラリと見ようともしない。
普通は父親がこうなった理由を傍にいた人間に聞くだろうに

エルクくんはエルクくんであの瞳をリーベくんに向けているだけで何も言わない


だめだ


つぼる


「ぶっ、あははははははは!!なにこれ、面白っ、リーベくん最高…っ、あはははははっ」

久しぶりに僕の笑いのツボにはまった
決してこのシリアスな場面であげる笑いじゃないけれど
面白いものはしょうがない


エルク
隣で爆笑する奴がひとり。それでまた元の空虚感に戻る。リーベはそれに気付いたのか知らないが、手を踏み付けていた足をどかす。
その時になってやっとのこと、にっこりと笑って、あいつの方を向く。
「うじうじしてんのは父様並のくせに、何笑っているんですか、ドM二号?」
最高の笑顔で、とんでもないことを言いながら。


剳乱
「ぷっ…くくっ、あははははっ」

あまりにもツボって笑っていると
リーベくんが足をどかした
そしてこちらを向いたのだ
「あはっ…、はぁ〜あっ…」
それでなんとか笑いを抑え 何? と聞こうとするまえにリーベくんの口が開く

「うじうじしてんのは父様並のくせに、何笑っているんですか、ドM二号?」

なんて言われた。しかも、


とぉっってもいい笑顔で


うじうじ?僕が?
この子はちゃんとうじうじの意味が分かってるのだろうか
しかもエルクくん並に??
それは、僕がエルクくんみたいにこうも容易く廃人になるとでも言いたいのか


しかも


ドM二号。



「……くすくすっ、ごめんごめん、あんまりにも君達が面白いから♪
でもいきなりそれは酷くなーぃ?僕は君の父親ほどうじうじなんてしてないと思うんだけど?」

この子のネーミングセンスにまた笑いそうになるのを必死に堪えて
僕はリーベくんに笑顔で応えた


エルク
「えー?救われないのはあなたの方じゃないですかー?うじうじしてないように見えるだけ、自覚してないだけ、いつまでもいつまでもいつまでも同じこと引きずってるのは、父様よりタチが悪い。自覚ぐらいしたらどうなんですか、バカwww
ドSのふりでもしたいのですか?うじうじしてるドMに?全く、笑えるのはこっちですよ、氏虫さん?」


リーは
何の根拠もなく言っている。それが正しいかどうかなんて、オレは知らない。
リー
オレは今、誰よりも
何を言っているのか自分が一番わかってないお前が怖い。
わかってないのに、そうハッキリとニコニコしながら言い切れるお前が。


剳乱
「僕のコト何もしらない君が、なにを根拠にそんなこと言ってるわけ??
ふふっ、当てずっぽうの御託だね。僕がなにを引きづってるって?
とにかく毒吐けば相手が怯むとでも……?」


笑みを崩すことなく僕はリーベくんをみる

いきなり何を言い出すかと思えば根拠のないでたらめばかり。
僕がひきづる?何を?
僕は君の父親と違って

記憶に縛られなんてしないんだ。


「君こそ、素直に父親の心配ぐらいすればいいのに」


エルク
「根拠を知りたいですかー?直感が8割ですかねー」
ニコニコと笑うリーベ。少しもひるんでないし、バッサリ言い捨てられても、開き直る。
リーベはキャハハ、っといつものような無邪気な笑い声をあげる。
「べっつにー?リーは確かにテキトーですけどー?…でもあながち嘘言ってないですよ?あなたが認めない、引きずってるだけで。おもしろいからラグさんを連れて来ましょうかね〜wwwあの子、大人より遥かに魂の共鳴力が強いですし。嘘かどうかなんて、すーぐばれますよ〜www
…ジュバレさんとかの記憶とか、縛られてるのはどちらですか?」

ひたすら笑うリーベ。そして、オレを見て、軽蔑したかのような目で言葉を吐き捨てる。
親子で心配しなきゃならないのはなんでですか、と。


剳乱
どこからそんなコトを聞いたのか。
リーベくんの口からあの忌々しい男の名前が出てきた

名前を聞いただけで悪寒がする。

でも、こんなことで動揺なんてしない。
何しろ相手は知ってるような口を利いてるだけなんだから

「“アレ”の記憶に縛られてる??
どこからそんなの聞いたか知らないけど、また直感なんでしょ……?
それに、僕はそんなものに縛られてなんかいないし、何より君みたいな“お嬢さん”に知ったような口をきかれる筋あいないしね

ラグくんを連れてきたいならそうすればいい。あの子に読まれるほど僕はやわじゃないから♪
……というか、今は僕のことよりソコの廃人になりかけてる父親のこと気にしたら??」

何がそんなに楽しいのか、ひたすら笑うリーベくんに僕もいつもの笑みを絶やさない

「……いや、別にしなくたっていいんだけどね
まぁ一般常識的にそうするのが普通だとされてることを提案してみただけだから、したいならいくらでもエルクくんけなしてどうぞ♪」



そういってエルクくんを見た





続く……