フリーホラゲーを呟く会

ホラーフリーゲームの感想を不定期に呟く。時々痛い小説があったり。

マリオネット 選択

なんか書くたんびに剳乱様がめちゃくちゃ悪役になっているけど、ごめんなさい!!
そして、謝っておきながらまた書こうとしてるアホをお許しください……orz


本編↓




「さあ?これから決めるよ♪ でも君にはもう関係ないでしょ?」
ニコニコと笑うアイツ。まだあの気持ち悪さが全身を覆う。
なんでオレはここにいるんだろう。
自分でも不思議に思う。自分の記憶の代わりに殺したリーベのことをなんでこんなにも気にしているんだ。もう終わったことで、オレにはリーベは自分の記憶以下の存在だと言うのに。
……なのに……。
一人の部屋にいたくない。物音がするたびに構えて、リーベがもういないこと思い出して、あの何とも言えない喪失感にのまれそうになるから。
リーベが生まれる前の状態に戻っただけなのに、昔の自分がこの一人の部屋が平気だったのが不思議に思う。
自分が殺したくせに。
自分がそんな状況作り出したくせに。
なんで、なんで、なんで、なんで……。
「……気になったから聞いているんだが……。関係ないかもしれないが……」
オレは、なんでまた気持ち悪くてたまらないコイツのところにわざわざ自分から来て、自分が殺した娘の遺体の行方を聞きに来ているんだ。後悔するってわかっているのに、なんで、オレは……今目の前にあるこの苦しさに耐えることができないんだ。
「……ま、いいや。そうだなあ。せっかくだから蘇生でもして僕の玩具にでもしようかなあ〜?」
リーベを? とかすれた声でつぶやく。大体予想はついていた。でも、実際に聞くと想像以上に自分にはこたえた。
「だって君とヒカリ君の子だよ? おもしろそうじゃない♪」
とても楽しげな笑顔。その笑顔が、気持ち悪くて、気持ち悪くて、たまらない。それを聞いたオレがどういう反応をするか楽しむかのように。その意図にはまるかのように、リーベは平均的、またはそれ以下としゃべる自分が空しい。無駄だとわかっているのに、こんなこと言っても、リーベが返してもらえるわけじゃないのに。
リーベのどこに目をつけようが、コイツの勝手なのに。
「これから僕は早速遊んでくるから♪」
じゃあね、と言ってオレに背中を向けて歩き出すアイツ。また待ってと言わんばかりに手を掴みそうになる自分。それを無理に抑え込む。聞いたからもういいだろ。リーベはもうアイツに玩具にされるんだ。それで十分なんだろ。自分はそれで満足するはずだろ。
自分に言い聞かせ、何度もアイツの手を掴みそうになる自分を納得させる。頭は納得できないと言っているけれど。


急にアイツは振り向いた。どこか企み、オレを観察するような目で。
「ねえ、もしさ、今リーベ君を返してあげるっていったらさ……」


今度は何を君は失うんだろうねえ


見透かした口ぶり。言われて、胸がしめつけられるように痛い。鼓動はまた速くなっている。
認めたくないと言わんばかりに体はその言葉を拒絶する。何かを戻されるたび、何かを失うことの繰り返しをわかっているかのように。……いや、コイツはわかっているんだろうな。少なくとも……記憶をコイツに取ってもらって、それを奪われたあたりからはそれしかないんだから。
「……わからない。でも……辛いことには変わりはない……」
辛い? と聞き返し笑う。嘲るような、そんな笑いで。
ああ、そうだな。人形だとかなんとか言われて、認めているのに、辛い、なんて言葉、合わないよな。
でも、辛い、苦しい以外に、何の言いようもなかった。それしか言えなくて、それは確実に存在してた。それがあるから……どこも悪くないはずなのに、胸が、頭が、体が、痛い。
「よかったねえ? それはとても人間らしい感情じゃない?」


「……んなこと……どうでもいい……」


オレは、最高に矛盾していることを口にした。


どうでもいいの? と聞き返すアイツ。いつ間にかあんなにも距離があったのに、すごい至近距離で顔を見られている。いつもの、あの気持ち悪い笑顔で。
逃げたい。
消えてしまいたい。
ここにきたオレが悪かったから。
だからもう何も言ってほしくない。
人間らしい感情とか、もうどうでもいいから。あんなこと言ったリーベより重要だったはずでも、もうどうでもいいんだ。
そんな風に見るなよ。
目をそらし、少しでもコイツから離れようとするオレ。どうでもいいと言いながら。
「……どうして目をそらすの?」
不意に顔を掴まれる。嫌でもアイツを見る。全身でコイツを嫌悪する。気持ち悪くて、たまらなくて、悪寒で震えが止まらない。


オレは
コイツが怖いのか。


やっとのこと理解する。ああ、そうか、怖くて仕方がないんだ。聞きたくないことを、認めたくないことを、コイツに言われるのが怖いんだ。だから、こんなにも気持ち悪く思うんだ。ああ、なんだ簡単じゃないか。
「じゃあ……今君にとって大切なのは何かな?」
こんな風に考えたくなくても考えてしまうこと言われるのが。
わからない。
もう何もわからない。
何でもいいからもう。
考えたくない。
考えるのが嫌だ。
嫌でも見えるコイツの顔から顔を背けたい。何もなかったことにしたい。もうなんでもいいから、もうどうでもいいから……。
わからないとしか言わないオレをつまらなさそうに一瞬見た後、アイツはまた意味ありげに笑う。
「リーベ君、返してほしい?」






返して






返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して返して
返して……


気持ちが悪くなるほど、自分の中でその言葉は繰り返される。さっきまでどうでもいいとかほざいていたのに、返してほしいと、強く願っている。
リーベを返して。
オレが殺した。それは事実だ。
でも、どうしようもないくらい返してほしいんだ。お前の手の中にリーベがいることが、嫌でたまらないんだ。リーベが戻ってほしい。オレにはそれができるから。気持ち悪いだのなんだの言われて、生き返したことを後悔するだろうけど、でも、今は、リーベを返してほしい。返されないことが、今、とても苦しいから。
虫がいい話だろうけど、矛盾しているけど……。


それでも……


へえ、と笑うアイツ。そんなオレを楽しげに、黒さを秘めてにっこりと笑う。さっきより顔を掴む手が強くなっている。
何も言うな。その笑顔が、どんなこと言うか、容易に想像できるから。あの人も同じこと言うから知っているんだ。


返してほしいなら、リーベの代わりに玩具になれって言うんだろ?


本当、救われないな。
それをオレに選べというのか。リーベを返してもらう代わりに、玩具にされるか、リーベを玩具にされるのを見るのか。どっちかを選べと言うのか。
離される手。
僕はどっちでもいいけどね、と笑う。
当たり前だろ。お前は楽しいんだろうから。オレがどっちを選ぼうが、結局はオレは救われない。滑稽に、虚しく、お前の手の中で翻弄される。お前はそれを見ているだけなんだから。
考えたい。
考えても答えなんてないけれど、それでも考えたい。
蟻地獄のようだ。ずるずるとはまっていく。何をしても、苦しいだけ。
なあ、どうすればいい、オレは? 
どっちも嫌だよ。
どっちも辛いよ。
なかったはずの感情は、オレの中でうずまく。
胸が、頭が、体が、痛いよ。
だだをこねる子供だ、まるで。
嫌だと、どっちも嫌だと、言いたくて、逃げ出したくて、仕方がない。


体の痛みに耐えきれず、その場に崩れるように倒れる。今度はそいつは見下すようにオレをあざ笑っている。
うまく息がすえない。そのせいか胸がさっきから苦しくて、頭はガンガンしてきた。またあの時と同じ。
でも、答えを出さなきゃ。どっちかを選ばなきゃ。じゃなきゃ、また、後悔するから。選ばなかったことを後悔するから。
「……リーベ……返して」
絞り出した声に、アイツはにっこりと笑った。


なんでこうなったんだろうか?
もう覚えてない。
人形とか、人間とか、もうどうでもいい。
オレはただ、お前に会う前にリセットしたいだけなのに。 
オレはただ……
































救われたいだけなのに……