フリーホラゲーを呟く会

ホラーフリーゲームの感想を不定期に呟く。時々痛い小説があったり。

日常風景

マリオネットシリーズでの鬱ぶりがすごかったので、一つ、日常的な物を書いてみようかと。
再びエルク視点の日常風景。
ちなみに、カオスの一色。




ものすごい泣き声が聞こえる。きゃははは、と言う子供の笑い声もそれと同時に聞こえてくる。声から言って、またリーベがミナトを目が見えないのをいいことに足払いかなんかして転ばせたんだろう。フェリスのくすくすという笑い声も聞こえてくるし。
ミナトは泣かせたときの反応がいいから、こんな風に遊ばれるのはしばしば……。でも、その代償はいつもでかいんだがな……。
部屋の被害が拡大する前にミナトをどっかに連れて行かなきゃな。片づけが後々大変だ。ミナトの怪力には日ごろから困っている。この前なんざ、完全に埋まっている実験台を引っこ抜いて投げた。
幸い、フェリスの代わりにクルエルが犠牲になったから、誰もケガしなかった。片付けは色々とアレだったが。
てか、普通、子供とはいえ、あんなもの投げて当たったら死ぬとか考えないのか……? そう考えながらドアを開けた。


泣き声は鮮明になり、オレの鼓膜を揺らす。
ものすごい速さで飛んでいく何かを、赤と茶が混ざった髪の少女が避け、青い髪の男ぎりぎりにそれはかすって飛んでいく。
そして……
「ストライクっ!」
……オレの顔面に直撃。

……ああ、これ、ミナトが投げたい椅子か。てか、椅子ってこんなにも速く投げれるもんなんだな。初めて知った。そんなことできるのはミナトぐらいだろうが。
……やけに冷静な自分に正直驚いた。
目の前が真っ暗になり、クラクラする。さすがにいきなりこれを顔面にくらって大丈夫なわけなく、割れた額からダラダラと血が流れ出す。激痛が走り、うずくまった。
誰かが爆笑する声。ミナトの父様! という焦る声が聞こえる。
フェリスにいたっては、笑いこらえるのに必死そうで、大丈夫ですか? と聞く声が明らかに震えている。
「……大丈夫そうに見えるか?」
「……見えませんね」
「……フェリス」
「はい?」
「……おもしろがっているだろ?」
気のせいですよ、とめちゃくちゃいい笑顔で言われても……。
あー、くそ……。
ミナトが暴れた跡がある部屋の中を見て、オレは倒れこむ。
片付け……誰がやると思ってるんだ、こいつらは……。
自分の血で汚れてく床を見つめながらそうつぶやいた。