フリーホラゲーを呟く会

ホラーフリーゲームの感想を不定期に呟く。時々痛い小説があったり。

とある平和な一日

午前5時半。
いつもの時間だ。
目覚ましを止め、起き上がる。窓の外を見る。今日は快晴、日差しは強い。暑くなりそうな日だ。あくびを一つして、伸びをする。
ベッドから降り、冷蔵庫にまず向かう。冷えたプリンを一つ出す。まずは糖分を補給。何があっても糖分だけは補給する。ゼリーでも汁粉でもチョコでも基本、なんでもいいが、何かプリンが食べたかった。
糖分を補給しながら、昨日、フェリスに渡された書類に目を通す。大体こんなもんでいいかと確認する。たまに間違えていたりするから、この確認は重要だ。でも、ぶっちゃけ、フェリスに間違っているの渡しても、あの人なら一発でわかるだろうけどな。
プリンを食べ終わり、ゴミ箱にカップを捨てる。
朝食は何にするかもう一度冷蔵庫を見る。八割糖分補給用だから、あまり朝食とかに使えそうなものはないけれど。
パンがあるからパンでいいか。オレはそうつぶやいて、卵と牛乳と砂糖、あと、栄養バランス的にサラダを作る野菜を取り出し、朝食を作り始める。


午前6時。
リーが起きてくる。
この娘は夜寝るのはこの行動の割に早く、めちゃくちゃ健康的だ。こういうとこはヒカリに似ている。だって、ヒカリも6時半起き、11時に寝る。17歳男子にしては、随分と早いもんだ。朝に強いと言うか、何というか……。
あふっとあくびをするリーは片手にメスを持ってオレに三本くらい寝起きに投げつける。野菜を切っていた包丁で弾き、メスは床に落ちる。てか、さすがに毎朝こうやって命狙って来れば慣れる。頸動脈、心臓、腎臓を狙ってるあたり、殺意は本物だ。
何事もなかったかのように、オレは卵、砂糖、牛乳を混ぜた液体に浸したパンをフライパンで焼き始める。焦げないように見ながら、サラダを盛り付けた。
「……朝飯、できた」
へらへらといつもの企んだ笑顔をしながら、リーはテーブルにつく。さっき作った朝食を置き、さっき淹れておいたコーヒー(もちろん、ミルクはたっぷりと)を持ってきて、席に着く。そして、朝食を食べ始める。
今日のリーは何で命を狙ってくるんだか……。
そう考えながらも、サラダを頬張った。


午前7時半。
軽く自室の掃除を済ませ、フェリスのところへ。
フェリスは既に起きている。フェリスに軽く挨拶して、いつものように、フェリスの体調が崩れないよう、念入りに掃除をする。フェリスは体は本当に弱い。だから、埃が少しでもあると、呼吸器官が心配になる。時々咳き込むし。
それに、この部屋で基本的に実験するのだから、埃が入ると困る。
掃除を済ませる間、フェリスは黙々と実験を続けている。毎日実験して楽しいのか、と聞かれたことあるのだが、実験すればするほど、実験したいことは増えるのだ。不思議に思うかもしれないが。でも、そういうことで実験したくなるし、飽きない。
掃除を終わらせ、書類を渡す。フェリスは微笑んだままざっと目を通す。今回は間違いはなかったようだ。安心する。
「……今日は何をする?」
「そうですねえ……」
そうやって黒い笑顔を浮かべながらも考えるフェリス。何か黒いことを考えているのは明らかだが、まあ、正直オレには黒いかどうかなんて関係ない。フェリスの側にいれて、実験ができる環境があれば、本当、なんでもいい。
実験内容を聞き、オレは軽くうなずく。そして、ざっと聞いて必要そうなものを探し出し、準備する。確か、アレはあそこの箱の中にしまったはず……。そう記憶をたどる。
今日も、実験だらけの一日になりそうだ。


午前10時。
フェリスが疲れたのか椅子に座る。時間的にもちょうどいい。ぼちぼち気温も上がってきて、汗をかき始めるくらいになる。水分をここらで摂ってもらったほうが、フェリスにとっていいだろう。
実験はあと数時間後に結果がわかるのだし、ほっといても平気だ。
飲み物を取りに向かう。
あ、その前にエアコンか。エアコンのリモコンを探し、手に取る。そして、エアコンのスイッチを入れた。涼しい風が吹いてくる。
「……?」
フェリスは気づかないが、エアコンの様子が何か変だ。変な音がする。
プスンっという音がして、エアコンの起動が止まる。リモコンの入りボタンを押す。
エアコンは動かない。何度押しても反応なし。コンセントを確認するが、ちゃんと入ってる。
「……」
えーっと……確か……クルエルがプリントされたエアコンと、クルエル型のエアコンを誰の嫌がらせかはあえて言わないが、おいてあったはず……。……絶対あの人は嫌がるだろうけど。
聞かないよりはマシか。そう思ってあの人の元へ向かう。もしかしたら、この状況ならそういうの認めるかもしれない。1%も可能性としてないけど。
どうしましたか? と聞くフェリスに向かってオレは、いつも通りの無表情で言う。
「……重大なお知らせがある……」
「……重大なお知らせ?」
「……エアコンが壊れた」
そうですか、とつぶやき、遠い目をするその人。どうしようか、と聞いたオレに向かって、クルエルがプリントされてるエアコンなら、即捨てて下さいね、とやはり釘を刺される。
オレはため息を一つつき、修理の依頼をするために電話を手に取った。


fin