フリーホラゲーを呟く会

ホラーフリーゲームの感想を不定期に呟く。時々痛い小説があったり。

ストスト参考資料

ライムs宛て

あらすじ

転入早々楓の学園に強盗したてのほやほやの犯人らが警察に追い込まれ、逃げ込んできた

それを狙わないわけがなく、学園の人ら総出で捕まえ……るはずもなく、なんとみんなで楓の力量をみるという名目で楓一人で犯人全員の捕獲を命令

しなければ生徒らに殺される、捕獲に行っても生きれる気がしない、しくしくと泣いてる楓の元に現れたのは自分で謎と言ってしまっている若干(かなり)バカっぽい海鳴韻だった

そんなこんなで捕まえることになりましたとさ

 

 

「あらすじ長いよ!!」

楓はくわっと目を見開き、叫ぶ。

その隣ではインがあはは、と笑っている。

楓の片手には刀が握られている。万が一のために、とライナに言われて刀の予備を半ば無理矢理貸されたのだ。その万が一って言うのがどういうときを指すのかはさすがに怖くて聞けなかったのだが。

とにかく、銃やら爆弾やら持っている以上、ヘタに手が出せない。そもそも刀なんか使ったら銃刀法にひっかかるし、法律はできるかぎりおかしたくない。どうにかして……刀を使わずに済むようにしよう。楓は心の中でそう誓う。

突然、インがバッと後ろを向く。楓もそんなインに気付いて後ろを向く。気配を感じてはいたものの、予想より多い人数がそこにいる。楓は思わず泣きそうになる。勘弁してください、僕、まだ死にたくないんです。

「……5人か~、微妙な人数だねえ~」

ゆるーく笑うインのそんなつぶやき。犯人たちは何か言って、銃をこちらに向けているのだが、インにそんな言葉なんて聞こえている様子がない。むしろこの状況を楽しんでいるようにすら思える。

乾いた音が響く。

それは何かがはじけるような、鋭くて、恐怖を感じるぐらいの重い重い音だった。

2発目

3発目

4発目

威嚇じゃない。

楓はそう感じた。幸い腕はよくないらしい。楓が間一髪、それはもう頸動脈まであと1cmにも満たない位置でかわしている。我ながらいい反射能力をしているな、と思った。チラッとインを見る。

インはひどくつまらなさそうな顔をした。

「……武器ってそんなもんなの?」

インはそう言って一歩踏み出す。

彼は楓の目の前に何かを投げ出す。それはとても小さくて、重い、金属の塊だった。そして楓は、それが銃の弾であったことを理解するのに少し時間がかかった。

インはにぃっと笑った。

「そんじゃあ、オレの敵にもなんないや」

 

次の瞬間

インはボールペンを犯人らの肩にぶっ刺した。

 

「なっ……!!」

「いつのまにー、とか思ったりする~?あはは、こんなの朝飯前、ライナと喧嘩していた方がまだマシだね」

ぶっちゃけ銃に頼るとかありえないわ~

そんな風に笑ったインはボールペンを引き抜く。ぴしゃっと軽く彼の顔に赤い液体がかかる。彼は表情を変えないまま、楽しそうに、楽しそうに笑う。

「遅い、下手くそ。まあ、でも、いいけどね~。

オレは、ボールペン使って、君らが撃ってきたから抵抗した。正当防衛って言葉知ってるかな~?」

楓はその言葉にゾクッとする。インはこの状況を楽しんでいる、そして、傷つけた後のその顔を見た後から、どうも興奮している。これは……犯人がヤバい。

インさん、と楓は叫ぶ。インは楓のその声に、どうしたの~?と反応する。その隙をついて犯人らは肩を押さえてもがいてる一人を置いて走り出す。楓同様、いや、それ以上にインのなんとも言えないこの異常な感じに恐怖を感じずにはいられないだろう。

インはあ、と言葉を漏らし、ちっと舌打ちをした。

「もう、かえっちゃん、いいところだったのにい!」

ぶうっ、とぶうたれる彼は楓から見てまだ幼さを残した印象を受けた。楓はその、とくちごもる。何故かこの無邪気な拗ね方にどこか申し訳なさを感じてしまった。僕、何も悪いことしてないよね、と自分の心に問う。大丈夫、何も悪いことはしていない。

犯人探さなくっちゃ、とインは駆け出そうとした。

 

後ろから何か赤い髪をした背の高い男の人が、インにものすごい速さで飛び蹴りをくらわせてきた。

 

楓は一瞬思考が停止した。

こんなに近くにいるとさすがに感じる殺意。これ、廊下の端にいただけでも感じれるレベルじゃないか?それを何故さっきまで気付かなかったんだろう、てか、あの完全に足が水平に、しかもどう見たって全力出したとしか思えない速度で、無防備の人の背中に飛び蹴り。

「……インさああああああああん!!!!」

楓の絶叫が廊下中に響き渡った。