WATCHMAN GAME 1
酷く瞼が重い。眠くて、だるくて仕方がない。
起きなければいけない気がするのに、体は全身で悲鳴を上げている。息が、できないかと思うほどの苦しさを覚える。どうしようもないくらいの不安に襲われ、体が震える。
彗は目を重い瞼を開ける。視界がぼんやりし、うまく物が見えない。
青い空と、真っ白い雲、今日はよく晴れていて、日差しが痛いほどまぶしい。まぶしさに彗は目を細め、少しうめく。頭が痛い。
視界がやがてはっきりとしてきて、目も眩しさに慣れてくる。先ほどよりは体のだるさや苦しさは和らぎ、彗はゆっくりと体を起こした。
下はアスファルトの道路の様だ。ひどく熱を持っていて、手が火傷しそうだ。彗は道路から手を離した。そして、ぐるりとあたりを見回す。見覚えのある風景が広がっている。当たり前だ。ここは彗が小学生の時からずっと通い続けた道路なのだから。
道幅は広く、車道と歩道ははっきりと分かれている。その両側には店が立ち並び、歩道橋や信号、道の先には大きめの駅も見える。彗が寝ていたのは車道のど真ん中だった。
あれ、なんで自分、こんなところで寝ているんだ?
彗は思う。昨日、テストが返ってくる明日が嫌だなあ、と思い、眠りについたところまでは覚えている。そして、目覚めたらここなのだ。夢と言う割には今は意識がはっきりしているし、感覚が嫌にリアルだった。
彗は違和感を覚える。その違和感の正体はハッキリしていた。
こんな昼間、こんな大きくて店や人で賑わい、車の通りが激しい場所に、人らしい者がいず、車の一台も、ネコの一匹の気配すらしない。音も何も聞こえてこないし、見慣れたはずの景色に生きている者らしきものが一人もいないことに彗は不安を覚えた。
夢だよな、と思い、彗は目をぎゅうっと瞑り、再び目を開ける。
景色は変わらない。
今度は耳をふさぎ、再び目を閉じて、覚めろと念じ続ける。
変化はない。
この言い知れぬ不安に、彗はまた息が苦しくなる。一体なんだと言うのだ。
彗は自分の頭を叩く。痛い。
頬をつねる。痛い。
アスファルトに触れる。熱い。
ここまでしても景色は変わることはなかった。彗はため息をひとつつく。
こうしていても仕方がない。彗は立ち上がった。軽い頭痛とふらつきはあるが、一応歩くことはできそうだ。何が起きたか理解できないが、とりあえず喉が渇いた。
彗は、小学校の近くにある小さな公園に足を運ぶ。
よく知ってるこの街は、
今はもう彗の知らない街へとなっていた。
To Be Continued……